
ある申し込みや、予定の連絡を相手に伝えていた場合においては、それを聞いた相手としてはある程度準備をしたり、あてにしたりしてそれなりの対応をすることになります。その場合に、何の連絡もなしにキャンセルしたり、予定を変更するようなことが度々あると相手に迷惑がかかります。何も連絡がないけどどうしたんだろうとか、こちらの立場も考えてよとか、相手の方も一言いいたいということにもなるかと思います。ましてこれが同じ方から繰り返し何度もそのようなことをされると、その方を信じられなくなっても無理もありません。これらのことを念頭に、入管の手続き等に置き換えて考えてみたいと思います。
例えば、みなし再入国許可を得て出国した場合に、その後、再入国の計画がなくなったような場合には、特に何か報告する必要がある訳ではなく、期限後に入国する場合には改めてビザの申請をすることになります。一方、在留資格認定証明書の発行を受けたにもかかわらず、入国の計画がなくなったような場合においては、同様に何もする必要がないということにはならないようです。発行を受けた出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書の原本を理由を添えて返納することが求められています。参考様式は以下の通り、出入国在留管理庁ウェブサイトにあります。
【出典:出入国在留管理庁ウェブサイトより】

このように、計画の過程において、その計画の内容が変わることも当然あるかと思います。このような場合、使わなくなった在留資格認定証明書を返納せずに放置プレーが続くようなことは考えづらいですが、もし漫然とたびたび放置するようなことがあると入国審査の際にもマイナスに働く恐れもありますので、きちんと理由を添えて返納するようにした方が無難といえます。
これは、入国審査を規定する出入国在留管理法及び難民認定法第7条第1項第2号の「申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、・・・・」に抵触するという判断に繋がりかねないことからです。確かに、前述の通り申込をしておきながら何の連絡もなく予定の行動をとらないことが重なったりすると、その後の申請の際、今回の申込も本当なのという気持ちになります。つまり、疑ってかかるのも無理もないということです。そうならないためにも、理由を述べて適切に報告することは重要といえます。やむを得ない事情があった場合は仕方がないとしても、できるだけご自身の信用力が低下することは避けたほうがいいという訳です。
尚、在留資格認定証明書をメール形式で受け取ることを選択した場合において、同様に計画変更となった場合については、特に説明がなされていないようですが、出入国在留管理庁へ連絡しその旨を報告するのが望ましいといえます。
参考までに、出入国在留管理庁が公表している在留資格認定証明書のメールによる受取についてのリーフレットをご紹介させて頂きます。

(出典:出入国在留管理庁ウェブサイトより)
今日の記述内容の趣旨は、下記の条文からも導き出されるのではないかと感じています。
(目的)
第1条 出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。
出入国管理及び難民認定法 第1条 抜粋