
皆さま、こんにちは。
行政書士の中川正明です。
近年、日本では少子高齢化と人口減少が加速し、地域社会や企業の担い手不足が深刻な課題となっています。こうした中で、外国人材の受け入れは避けて通れないテーマとなりつつあります。
法務省は出入国在留管理庁にプロジェクトチームを立ち上げ、外国人との共生に向けた中長期的な施策を検討しています。そこでは、地域住民との摩擦を和らげる仕組みづくりに加えて、受け入れ人数に一定の上限を設けるかどうかという「量的規制」の議論も始まっています。
日経新聞 2025.9.10記事より抜粋
今回は、私自身が行政書士として日々感じていることも交えながら、今後の方向性と課題、そして地域で活動する私たちが留意すべき点について整理してみたいと思います。
1.日本の外国人受け入れはどこへ向かうのか?
これまでの受け入れ政策は、技能実習制度や特定技能制度を中心に「人手不足対策」として展開されてきました。しかし現実には、生活支援や地域共生の視点が十分でないため、現場で摩擦や課題が目立ってきています。
今回の法務省の動きから見える方向性は、大きく三つあると考えられます。
- 受け入れ人数の調整
日本社会の吸収力を超えない「適正規模」での受け入れ。 - 地域共生への本格的な取り組み
行政サービスや多文化交流を含め、生活者として支える仕組みづくり。 - 労働力確保から共生社会へ
単なる働き手ではなく、税や社会保障を共に担う「地域の一員」としての位置づけ。
このように、量から質へと政策がシフトし始めています。
2.想定される課題
方向性は理解できても、実際にはさまざまな課題が立ちはだかります。
- 地域住民との摩擦
ごみ出しや生活習慣の違い、言葉の壁などがトラブルの火種になります。 - 制度の硬直化
上限規制を強めれば人手不足が解消されず、逆に緩めれば低賃金労働の温床となる恐れ。調整が難しいのが現実です。 - 地域格差
都市部と比べ、地方は受け入れ体制が脆弱で、結果的に外国人が都市に集中してしまう危険があります。
3.留意すべきポイント
こうした課題を乗り越えるには、以下の点に留意する必要があります。
- 地域に根ざす仕組みづくり
学校や地域行事を通じて交流を増やし、「顔の見える関係」を築くこと。 - 企業の責任強化
雇用する企業が住居、日本語教育、生活支援をしっかり担うこと。 - 中長期的なビジョン共有
「どのくらいの外国人を、どのように受け入れるのか」を国民と丁寧に話し合うこと。 - 多様性を力に変える視点
外国人を「仕方なく受け入れる存在」ではなく、「地域を活性化する仲間」として迎える姿勢。
4.行政書士としての役割と私の想い
行政書士として外国人の在留資格申請や生活支援の相談を受ける中で、私は強く感じることがあります。
それは、外国人の方々もまた「地域に生きる生活者」であり、同じように安心して暮らしたい、未来を築きたいと願っているということです。
- 在留資格や契約の支援を通じて、法的な安心を届ける。
- 多くの業種での財務管理の経験を活かし、企業が無理なく外国人雇用を続けられる仕組みを助言する。
- 地域社会との橋渡し役として、誤解や不安を和らげる対話を促す。
これらは私の事務所が担える大切な役割だと考えています。
まとめ
外国人材の受け入れは、日本社会にとって避けられないテーマです。法務省が進める施策は、単なる労働力補充から「共生社会の基盤づくり」へと進もうとしています。しかし、制度設計だけでは不十分で、現場での支え合い、信頼関係づくりこそが鍵となります。
私たちの地域でも、外国人の方々が安心して暮らし、働き、共に未来を築ける社会をどう形づくるか。そのために行政、企業、地域住民、そして専門家が知恵を出し合い、伴走していくことが求められています。
私自身も、行政書士として、地域に寄り添いながら外国人と日本人が安心して暮らせる環境づくりに尽力してまいります。
✍️行政書士中川まさあき事務所
「外国人雇用や在留資格についてのお悩みは、お気軽にご相談ください」