出入国在留管理庁の「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」によれば、在留外国人の数は、令和5年現在(2023年) 341万992人(内、外国人労働者数は、204万8675人)(内、永住者 89万1,569人)(国別では、中国24.1%、ベトナム16.6%、韓国12%、フィリピン9.4%、ブラジル6.2%、ネパール5.2%、インドネシア4.4%、ミャンマー2.5%、米国1.9%など)となっており、平成24年7月(2012年)の「新しい在留管理制度の導入」、平成29年11月(2017年)の「技能実習法の施行」、平成31年4月(2019年)の「特定技能制度の創設」と、様々な施策を実施してきた結果、平成20年(2008年)における在留外国人は、221万7426人(内、外国人労働者数48万6398人)であったのに対し、コロナ禍であった令和3年(2021年)を除き、ほぼ毎年右肩上がりで増加の一途(2008年と15年が経過した2023年対比 在留外国人の数は、120万人増:1.54倍増、外国人労働者数は、156万人増:4.2倍増)をたどっており、今後も、さらに増加していくことが見込まれています。
確かに、街に目を向ければ多くの外国人の方々が日常生活を送り、街ですれ違う外国人の比重も近年急速に高まっているというのが実感です。また、インバウンド効果、円安などの要因が重なり、外国人観光客(観光ビザの場合には前述の在留外国人の数には含まれないのが通常ですが、統計データに含まれているかどうかは不明)で巷は溢れかえっています。国内における身近なところでは、運転手不足などによるバス路線の大幅な減便や、従業員など働き手不足により様々な業種で現場が混乱するといったことが慢性的におきています。働き手がリスクの高い業種を避ける傾向が益々顕著になる中にあって、所謂2024年問題も重なり、日本における働き手の構図は大きな転換点を迎え、それを余儀なくされる状況にあるといえるのです。それを如実に表す形で、現在のように多くの外国人の方々の姿を街で多く目にするようになったということに繋がります。さらに、経済に目を向ければ、先月7月には日銀の金利引き上げ発言の後の東証株式市場の株価大暴落、8/28にはFRB議長の9月からの金利引き下げ開始発言と、目まぐるしく変化する経済状況とも相まって、政治・経済・社会のどの側面においても激しい変化の時を迎えているといえるのです。
このような深刻な働き手不足の中にあって、令和6年6月14日、第213回通常国会において、「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)」及び「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)」が成立し、同月21日に公布されました。
改正法の概要は、出入国在留管理庁のホームページによれば、次のように公表されています。
技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、就労を通じた人勢育成及び人材確保を目的とする新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び管理支援を行おうとする者の許可の制度並びにこれに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、1号特定技能外国人支援に係る委託の制限、永住許可の要件の明確化等の措置を講ずる。
(公布の日から原則3年以内に施行)※準備行為に係る規定は公布即施行
今回の改正においては、①技能実習制度を育成就労という新たな制度へ改めること、②在留外国人への規制を一部強化したこと。の2点が主に経営者として理解しておかなければならないポイントといえます。補足になりますが、3月、各弁護士会からも声明があげられていたように、規制強化の在り方においては問題点も指摘されていますので、今後の動向に注視していく必要があるという点も押さえておく必要があります。
日本においては、少子高齢化社会が今後ますます進んでいくものと予想され、外国人の方との共存共栄なくして未来はないといっても過言ではない状況にきているといわれています。
そしてこの問題は中小企業経営者にとっても、切実かつ喫緊の課題としてとらえられているのです。