地震速報から思うこと

 11月26日午後10時47分ごろ、石川県西方沖で、マグニチュード6.4 最大震度5弱の揺れを観測する地震がありました。こちら福井県の方でも、海沿いの越前町では震度4の揺れを観測しました。不安が広がり眠れない夜となった方も大勢おられたかと思います。私も、落ち着かない夜になり情報収集や玄関の鍵を開けてドアを開けてみたりもしてようやく寝付くころには2時間以上が経過していました。

それにしても、緊急速報の精度は相当高いものです。揺れが来る少し前にはあちらこちらで緊急警報音が大音量で響き、地元の防災無線も即座に反応していました。あの緊張感を高めるメロディ音も本当に身構えるには効果てきめんの感じがする作りになっている気がします。巷でもその効果音のはなしでもちきりでした。このような高い精度を維持する地震速報の提供をする国は他にも例があるのでしょうか。開発関係者の方やシステム維持に尽力する方々に改めて敬意を表する次第です。私達は、当たり前と思うことなく感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。

さて、災害時もそうですが、世の中には何かあったら直ぐに動く体制を維持する部署のお仕事をされている方が大勢いらっしゃいます。たとえば、このような地震や気象の情報管理を所轄している気象庁、医療従事者の方々、警察・消防・防衛関係の方々、民間では、生き物を相手にする養鶏場や養豚場・牛舎、動物園勤務の方々、電気ガス水道などライフライン関係・緊急報道関係の方々、工事現場で現場管理をする方々、定時に発車しねければならない列車など公共交通機関の方々などもある意味パスできない職責を担っているという意味では似たような立場かもしれませんが、その他同様の立場の方々の存在は様々な業種、業態に及びます。このほかにも、あげたらきりがない位あるはずです。

働き方改革や労働関係法令の厳格化などを受け、一般従業員の方々にとってはかなり職場環境の改善が図られてきており、官民あげてそのような機運の高まりから労働環境や働きやすさは全般的に良い方向へ向かっていると実感できます。

しかし、それらの狭間で、単純にはどうしても線引きできない職責を担う方々の存在がなければ、世の中が機能しないという実態もあるのではないでしょうか。その中には、必然的に経営TOPや管理職も含まれてきますが、何かあったら直ぐに動く又はパスできない職務というプレッシャーは経験した方でないとなかなか理解できないことだと思います。人間には限界があり、ピンと張りつめた状態を維持し続けるというのは到底無理なことです。中にはあまりの重責に心が折れてしまう人さえ少なくないようです。

労働環境や待遇が改善される一方で、これらの隙間を補完する立場の方々の処遇が置き去りになるということがあってはならないはずです。それらの対応がおろそかになる政策が優先された結果、リスクの高い仕事や関わりを敬遠したり、極力大きな責任を負う部署を避けた業種や職場を探したり、全てを任されたり丸投げされる立場を極端に避けるという流れになっては、世の中が機能しなくなることを意味します。その意味で、これらを総合的に管理調整する権限を有する部署の方々の人選上最も重要なことは、やはり現場主義ということになります。