在留資格のうち、「短期滞在」や「文化活動」は、出入国及び難民認定法別表第一の3の表に記載されています。
【短期滞在】本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
【文化活動】収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(4の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
この二つの在留資格は原則として非就労資格であり、かつ、上陸基準省令の許可基準の適用はないという特徴があります。これは、以下の出入国及び難民認定法第7条第一項第二号をみると分かるように、「・・・・かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること・・・・」としており、別表第一の3の表が含まれていないことからそのような解釈をすることになります。
(入国審査官の審査)
第7条 入国審査官は、前条第2項の申請があつたときは、当該外国人が次の各号(第26条第1項の規定により再入国の許可を受けている者又は第61条の2の12第1項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持している者については、第1号及び第4号)に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 その所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること。
二 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(二の表の高度専門職の項の下欄第2号に掲げる活動を除き、五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人については、一号特定技能外国人支援計画が第2条の5第6項及び第7項の規定に適合するものであることを含む。)。
三 申請に係る在留期間が第2条の2第3項の規定に基づく法務省令の規定に適合するものであること。
四 当該外国人が第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと(第5条の2の規定の適用を受ける外国人にあつては、当該外国人が同条に規定する特定の事由によつて同項第4号、第5号、第7号、第9号又は第9号の2に該当する場合であつて、当該事由以外の事由によつては同項各号のいずれにも該当しないこと。以下同じ。)。
出入国管理及び難民認定法 第7条一項 抜粋
この二つの在留資格を検討するにあたり、「文化活動」にあたっては、別表第一の3の表にも記載があるように、法別表4の「留学」や「研修」に該当しないかどうかを先に検討する必要があります。「留学」や「研修」に該当しないときにはじめて「文化活動」の該当性を検討するということになります。このように基準の()書きに「○○を除く」という文言があるときは、その除かれた在留資格に該当するかどうかを先に検討するというように考えると分かりやすいです。因みに、同じような文化活動であっても、収入が伴う場合には法別表第一の2の表の「興行」を検討することになります。
また、「短期滞在」にあたっては、スポーツの短期滞在では就労するという概念がないですが、指導料収入を伴うコーチというような場合には、法別表第一の2の表の「興行」の在留許可を検討する必要があるでしょうし、他に「短期滞在」の業務連絡や講習・会合の場合、就労の意味合いが強く収入が伴うような場合には、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格の該当性を先に検討する必要が生じる場合も考えられます。
このように、在留資格該当性判断の段階で、誤りが生じないよう気を引き締めて業務にあたる必要があると考えています。