不服申立ての対象と審査庁

行政不服審査法を勉強するにあたっては、行政事件訴訟法と比較しつつも、論点が、行政不服審査法の論点なのか、行政事件訴訟法の論点なのか、あるいは、行政手続法の論点なのか、国家賠償法の論点なのか、行政代執行法の論点なのかなどを明確に区別しながら、また、共通点相違点に留意しながら理解をすすめていくことが重要となります。
はじめに行政不服審査法を中心に進める場合、まず、ざっくりと、以下のような流れにそって理解を深めていくことが必要となります。

つまり、
どんな不満がある ⇒ 
⇒だれを相手にするの
⇒どんな種類があるの 
⇒どんな裁決や決定がされるの
⇒その結果どうなるの

どんな不満がある

行政不服審査法において、行政庁の処分に不服がある者や、法令に基づき行政庁に対して処分の申請をした者が、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず行政庁の不作為がある場合などに、審査請求できる旨の規定があります。(もちろん、対象外のものもありますが、基本的に一般概括主義をとっています。)
不服申立ての対象は、主に3つに分類されます。➀処分、②事実行為、③不作為

ここで押さえておく必要があるのは、処分と事実行為の違いや、不作為とは、前述の通り、法令に基づき行政庁に対し処分の申請をした者に限り行えるという点です。
申請に対する処分には該当しないもので、所謂行政が何もしない事に対して何人も行政に対し要請できるというのは、行政手続法上の処分等の求めのことであるので、これも、混同はさけなければなりません。

だれを相手にするの

だれを相手に審査請求するかというと、大きく3つに分類されます。
➀上級庁、②処分庁、③その他(上級庁でも処分庁でもない審査庁)

どんな種類の申立てがあるの

次の3つに区分されます。
➀審査請求、②再審査請求、③再調査請求

どんな裁決(審査請求の場合)や決定(再調査請求の場合)がなされるの

どのような裁決や裁決がなされるかというと主に次の3つに分類されます。
➀却下、②棄却、③認容  
さらに、この他に、「事情裁決」といわれる棄却裁決や、「一部容認」という裁決もあります。(ただし、再調査請求には、事情裁決はありません。)

⇒その結果どうなるの

却下や棄却の場合は、あきらめるか、あるいは、再審査請求や訴訟に持ち込むことを考えるかになりますが、認容裁決がされると、以下の様なことをそれぞれ行うことになります。

処分に関しては、
・上級庁は、取消又は変更する。
・処分庁は、取消又は変更する。
・その他の行政庁は、取り消す。(変更はできない)

事実行為に関しては、
・上級庁は、違法不当を宣言し、撤廃又は変更を命ずる。
・処分庁は、違法不当を宣言し、撤廃又は変更する。
・その他の行政庁は、違法不当を宣言し、撤廃を命ずる。

不作為に関しては
・上級庁は、違法不当を宣言する。
・処分庁は、違法不当を宣言する。
・その他の行政庁は、違法不当を宣言する。

これらの関係性が、混同しないように頭の中で表にまとめておくと、ひねった問題も
間違えずに答えをだすことが出来ると思います。

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