憲法の判例問題などを例に挙げると、穴埋め問題で2択までは絞り込めたものの、記憶が曖昧なために不正解の選択をしてしまうことや、〇×の選択で、わかっているのに不正解の方を選んでしまうといった経験も多いかと思います。この原因は、全体をなんとなくわかったつもりになっていたことに起因します。正確に、確実に、どちらか一つの知識の理解・整理・暗記ができていれば、必然的に正解にたどり着いたはずです。また、判例をよくよく読み込んで深く理解していなければ、つじつまが合わない問題文になっていても気が付かなかったり、結論が真逆になっていても正解にみえたりしてしまいます。ここでは、憲法における重要判例の論点のいくつかを整理してみました。
●二重の基準論
精神的自由【表現の自由(自己実現の価値、自己統治の価値)、信教の自由、思想良心の自由】に対する規制立法は、経済的自由に対する規制立法より厳格な基準で審査される必要がある。つまり、精神的自由は、経済的自由と異なり、民主制の過程の基礎を成す重要な権利であるためである。精神的自由を規制する立法は、明確でなければならないという「明確性の理論」が働くことになる。
●目的二分論
積極目的規制よりも消極目的規制に厳しい審査基準が適用される。消極目的規制は、より緩やかな規制手段の有無を審査する「厳格な合理性の基準」が適用され、積極目的規制においては「明白性の原則」が適用され、規制が著しく不合理であることが明白でない限り合憲とする。
●目的効果基準
政教分離については、その行為が宗教的意義を持ち、その効果が特定の宗教への援助、助長、促進にあたる場合に違憲とする考え方。
これらをもとに、様々な判例を読み込んで、法的三段論法(規範・あてはめ・結論)での理解を深めておくことをお勧めします。