特定行政書士考査試験を受けた感想

2024年10月20日に行われた「特定行政書士」の考査試験を受けてまいりました。考査内容は以下の通りです。

【試験時間】2時間
【出題形式】マークシート方式 4択で正解肢をマークする。
【問題数】30問
【出題内容】
問1から問8   行政手続法  (8問)
問9から問16  行政不服審査法(8問)
問17から問20 行政事件訴訟法(4問)
問21から問24 要件事実   (4問)
問25から問27 民事訴訟・事実認定論 (3問)
問28      特定行政書士の倫理(1問)
問29      救済手段の選択(1問)
問30      行政書士の倫理(1問

この考査の受験資格は、日本行政書士会連合会 中央研修所が実施する 18コマ、約18時間のビデオ講習のすべてを一通りもれなく受講し、終了証を日本行政書士会へ送付して、手続きをすべて滞りなく終えた者に対してのみに与えられるというものです。

そのうえで、考査試験の合格基準、概ね6割程度の正解率に達した者を合格としているようです。ちなみに、合格率は年により変動があるようですが、おおよそ6割~7割程度とされています。
行政書士試験が5択50問、3時間という内容ですから、こちらの考査試験の方が簡単そうにみえますが、意外と手強い感じでした。もちろん、中央研修所指定のビデオ講習を漫然と視聴したというだけでは、正解にたどり着けないと考えた方がよさそうです。繰り返しの視聴や、他の参考書、問題集等と様々な角度からの思考と訓練が必要と思います。

幸いにも、私は、「特定行政書士 岡田忠興先生著 法定研修考査」という 要点開設と模擬問題を掲載した本を入手できたため、予め予想問題を解き本番の練習ができ、比較的動揺することなく試験に挑むことができました。
また、伊藤塾行政書士実務講習の中にも、この特定行政書士考査試験への対応講義も盛り込まれていたことから、事前の心構えや要点分析も十分ができた中で考査日を迎えることができてよかったと思っています。

問題を解いていて感じたことは、迷う問題が数問あり、2択までは絞れるのですが、最後に、原則論で答えるべきか、それとも、例外も含めて答えるべきかで惑わせる問い方をするものが多く難儀した点があげられます。
どちらにしても、結果は11月中ごろ、日本行政書士会連合会ホームページにおいて受験番号を掲載する形で発表されるようです。

特定行政書士の制度は、行政書士法にも明記されていますので、下記を参照ください。

行政書士法

(目的)

第1条 この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。


(業務)

第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。


第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第3号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和24年法律第205号)第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。

二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

 前項第2号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

行政書士法 第一条より抜粋

この特定行政書士の制度は、行政書士法第1条3項第2号の 「行政書士が作成した・・・  」という部分において、よく、その存在意義が議論されることがあるようです。つまり、行政書士が作成した申請に関する不服の申立ての代理はできるものの、本人申請したものについては、不服申立ての代理はできないという点で、そもそもの必要性の議論が毎回展開されるということになります。私としては、個人的には、せっかく、例外的に認められるのであるから、今後のためにも準備に万全を期すに越したことはないという立場で、受講申込に至った次第です。

行政書士中川まさあき事務所