行政手続法における地方公共団体の機関の適用除外に関する条文解釈について、わかりにくい部分をピックアップしてみたいと思います。
どこが焦点かというと、①適用される。の反対が、②適用されないということであり、③適用されない。の反対が、④適用される。ということなのですが、このあたりがもやもやするから解釈を誤ってしまうということが自分の経験からようやく気づきました。
他にも、このようなことが多々あるということになります。つまり、ある条文で、Aの場合は適用除外とする旨の規定がある場合、反対解釈により導き出されるのは、BはAに含まれないのでは適用される。という解釈になり、この導き出された、Aの場合は適用除外であるので、BはAに含まれないゆえに適用される。を再び反対解釈すると原則に戻り、BはAに含まれないので適用されるが、Aは適用除外となる。との結論に達するはずですが、この場合のAはBの中の一部として含まれないの?と、余計なことを深く考え込んでしまったり、これらの問い方、問われ方の問題で思考回路が混乱してしまうということになります。
では、どのように解釈すれば、間違いを回避できる一番の近道となるか。ということになります。
結論から言えば、表にするということになります。
明確に、縦軸・横軸で区分して曖昧な部分をなくすということです。
つまり、ことば・語句を表に当てはめるということになります。ことばや語句をそのまま正面から受け止めると、前述の通り、複雑な思考回路に時間を費やすということになりかねません。
※行政手続法における法令とは、「法律、法律に基づく命令(告示を含む)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規定を含む。以下「規則」という。」との定めが第2条にありますので、条例や規則は、法令に含まれるということになることから、ここでも、躓きポイントがあることがわかります。あくまでも、地方公共団体の機関が行う処分と届出のうち、適用対象は、法令(条例・規則を除く)という点にあることはよく見ておきましょう!
次に、具体的に例をあげて、前述の近道を証明していきたいと思います。上の表を見ながら当てはめてみましょう!
- 問:地方公共団体の機関がする処分と地方公共団体に対する届出の内、その根拠となる規定が、法律(条令又は規則に置かれているものを除く) に規定されている場合、行政手続法は適用となるか? 答え: 適用される。
- 地方公共団体の機関がする処分と地方公共団体に対する届出の内、その根拠となる規定が、条令又は規則に規定されている場合、行政手続法は適用となるか? 答え: 適用されない。
- 問: 上記の場合において、地方公共団体の機関が行う行政指導は、行政手続法は適用となるか? 答え:適用されない。
- 問:地方公共団体の機関がする処分と地方公共団体に対する届出の内、その根拠となる規定が、法律(条令又は規則に置かれているものを除く) に規定されているものに関する行政指導を行う場合、行政手続法は適用となるか? 答え: 適用されない。
- 問: 地方公共団体の機関がする処分で、その根拠となる規定が法律(条令又は規則に置かれているものを除く)に規定されている場合における、処分に関する審査基準(命令等)を地方公共団体が制定する場合、行政手続法は適用されるか?
答え:適用とはならない。(同処分や同届出は、適用となる一方で、命令等の制定は全て適用除外)
- 問: 地方公共団体の機関がこれら適用除外となる行政指導や命令等の制定をする場合、行政手続法を全く意識する必要はないか? 答え:必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
行政手続法3条(適用除外)
行政手続法3条 3項 より一部抜粋
3 第1項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第7号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)
並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第6章までの規定は適用しない。
(地方公共団体の措置)
行政手続法 第46条 より一部抜粋
第46条 地方公共団体は、第3条第3項において第2章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、
この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
どうでしょうか?意外と、すんなり回答を導くことができるのではないでしょうか。