以前の記事で、電子サインと電子署名の違いを解説しましたが、少しおさらいをすると、電子署名は電子サインに含まれる概念ですが、電子署名は電子サインに比べ法的証明力が強い位置づけになりますので、その分、通常の電子サインに比べ複雑な手続きを経ることになります。
ここでは、アドビ(Adobe)(https://www.adobe.com/)を使った電子サインの手順を説明します。なお、これらはアドビの有料サービスになりますので、説明文などをよく確認して納得した上で進める必要があります。つまり、アドビの課金が発生しますので、その旨十分了解された方のみ自己責任で、それぞれ利用することになります。アドビの他に、DocuSign(ドキュサイン)などのサービスもありますので、自社にあったものを選択しましょう。
既にご承知の通り、PDFファイルを開いて確認したり、ワードやエクセルファイルをPDFに置き換えたり、PDFファイルをメール添付して送ったりする場合は、アドビの無料のソフトさえインストールしてあれば事足りるのですが、そのPDFファイルを編集したり、逆にワードやエクセルに置き換えるなどといったことをする場合には、無料版では限界があり事足りず、有料版、つまりアドビアクロバットを買いインストールしなければなりません。
【電子サイン手順】
①アドビのホームページを開き、右上の「ログイン」をクリックし、グーグルアカウントなどをお持ちの場合は「Googleでログイン」から進むと早いですが、それらをお持ちでない場合は、電子メールアドレスを入力登録して登録手続きをしてください。
②いろいろな有料サービスプランが用意されています。例えば、「Creative Cloudコンプリートプラン」月額7,780円は、Photoshop、Illustrator、Adobe Express、Firefly、Acrobat Proを含む20以上のアプリ、チュートリアル、フォント、テンプレートなどを利用可能となっておりますが、電子サインを最大限利用するにはこのうち、「Acrobat Pro」を購入する必要があります。「Acrobat Pro」の価格は、現時点で、一括年払い23,760円、月々払い3,380円/月、年間プラン月払い1,980円となっているようです。一部の機能がない「Acrobat Standard」も1,518円/月で提供されており、電子サインの機能も持ち合わせていますが、ここでは、「Acrobat Pro」を選択して購入することを前提として説明します。なお、これらのプランの他にも、法人用がグループ版として用意されていますので、経営者の方は法人用を検討する価値があるかもしれません。ここで注意点は、操作ミスなどから、違ったサービスプランを誤って購入してしまったり、二重に購入してしまわないように注意が必要です。
③「Acrobat Pro」を購入手続きが完了したら、「Acrobat Pro」をパソコンにインストールします。
④よく使われるクイックアクションから、PDFを編集を選択します。
⑤ファイル選択から、電子サインするPDFファイルを選択します。
⑥選択したPDFがアップロードされ、PDFファイルが開きまます。ここでは、PDFファイルに電子サインする前提となっていますが、PDFファイルをワードに置き換えてワードファイルに電子サインすることも考えられます。
⑦画面左上に、 「編集」「変換」「電子サイン」と表示されていますので、「電子サイン」をクリックすします。
⑧フォームの入力と署名のBOXが開きますので、「次へ」をクリックします。
⑨「招待して電子サインを依頼」のBOXが開きますので、「開始」をクリックします。
⑩受信者を追加 電子メールを入力欄に、電子サインをしてもらう相手のメールアドレスを入力します。
⑪フィールドを追加の電子サインをクリックし、署名してもらうPDFの位置にドラックして署名欄を設置します。
⑫画面右下、確認して送信をクリックします。メール案内文やアドレスが表示されますので、確認の上、右下、「送信」ボタンをクリックします。正常に終了すると、「○○」は署名用に正常に送信されました。というメッセージが表示されます。
⑬(以下、送信相手のメールの内容)相手にメールが送信され、相手がメールを開くと、○○様から署名依頼が届きました。というメッセージが表示され、相手が、「確認して署名」を選択して「開始」から、「タップして署名」をクリックすると、署名欄が開きます。相手は、①入力、②描画、③画像の3種類の署名方法のいずれかにより署名をします。そして、相手が「適用」をクリックし、「タップして署名」をクリック承認すると署名欄に署名されます。相手の方は、この書類を保存することになります。
⑭相手の署名が完了したら、[電子署名されました]メッセージがアドビのマイページへ送信され、文書欄にステータス「署名済み」となってファイルが保存されます。つまり、相手がいちいちメールで署名した書類を添付して返信する必要がないという事になります。
以上が、アドビの「Acrobat Pro」を使った電子サインのやり取りです。
なお、厳格な認証手続きを伴う電子署名の方法は、アドビの「PDFファイルで電子署名を利用する方法」にてご確認ください。