遺言書作成ガイド|自筆か公正証書か・保管方法・必要書類まで徹底解説
いざ「遺言を書こう」と思ったとき、自分で書くか、専門家に相談するか、そしてどこに保管するかで迷う方が多くいらっしゃいます。せっかく作った遺言が検認で無効になったり、見つからず紛失したり、相続手続き後に発見されてトラブルになることは避けたいところです。ここでは、行政書士の視点で、確実・安心に遺言を残すための実務ポイントを整理します。
まず押さえておきたい落とし穴
・形式不備(自筆要件・日付・押印等)で無効となるリスク
・保管場所が不適切で、発見されない/紛失するリスク
・自筆遺言は家庭裁判所の検認が必須(法務局保管を除く)
事前ヒアリング:最初に確認する4点
- 意思能力の確認:作成時に判断能力が必要(認知症等で意思表示が困難な場合は方式選択を慎重に)
- 相続人・受遺者の把握:相続人の数・続柄、遺贈予定者の氏名・住所・生年月日
- 財産・負債の把握:不動産・預貯金・有価証券・保険・負債等(不明な場合は目録作成で補助)
- ご予算と希望精度:費用・速度・確実性のバランスをどう取るか
作成方式と保管の比較
| 方式 | 概要 | メリット | デメリット/注意 | 検認 | 保管 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 全文・日付・氏名を自書(財産目録は条件付でPC可) | 費用軽い・即日作成可・他人不介在 | 形式不備の無効リスク・紛失/隠匿リスク | 必要 | 自宅等(推奨せず)/ 法務局保管制度を推奨 |
| 自筆+法務局保管 | 自筆遺言を法務局に預ける制度 | 改ざん/紛失防止・検認不要・相続人への通知可 | 保管手数料・事前予約/持参が必要 | 不要 | 法務局 |
| 公正証書遺言 | 公証人が内容を確認し公証役場で作成(証人2名) | 法的安定性最高・検認不要・原本公的保管 | 費用と準備時間がかかる・証人手配が必要 | 不要 | 公証役場(原本保管) |
当事務所のサポートパターン
- 資産・家系の整理支援:財産目録作成、家系図整備(複雑な続柄の把握を支援)
- アドバイスのみ:方針設計と注意点の助言。作成・保管はご自身で
- 案文作成+自筆:ヒアリングに基づき案文作成→ご本人が清書・自己保管
- 案文作成+法務局保管:清書サポートと保管申請の段取り
- 公正証書遺言サポート:案文作成、公証人日程調整、証人2名手配、当日立会い
- 入院中など:公証人出張での作成を前提(自書可能でも形式・保管は要吟味)
- 税務連携:相続税の具体相談は提携税理士をご紹介
遺言執行者の指定:遺言の内容を実行する「遺言執行者」を指名すると、相続発生後の手続が円滑です(報酬は遺産整理業務の範囲で別途)。公正証書遺言では指定されることが一般的です。
自筆で作る場合のチェックリスト
- 全文・日付・氏名を自書し、押印(認印可)
- 加除訂正の方式(訂正箇所に押印・字数訂正等)を厳守
- 財産目録は別紙・PC作成可(各頁に署名押印)
- 保管は法務局保管制度を強く推奨(検認不要)
公正証書遺言の流れ
- ヒアリング:家族関係・財産・希望分配・付言事項
- 案文作成:遺留分配慮や実務運用を踏まえて設計
- 公証役場と調整:必要書類の事前提出・日程確定
- 当日作成:本人確認・読み聞かせ・署名押印(証人2名)
- 副本控え受領:原本は公証役場に保管
準備いただく主な資料
- 遺言者の現在戸籍・印鑑証明書
- 受遺者(財産を受ける方)の現在戸籍
- 不動産:固定資産税通知書 or 評価証明書、登記事項証明書
- 金融資産:預金・証券等の目録、保険証券の控え
- その他の財産資料
- 公正証書の場合:証人2名の氏名・住所・生年月日・職業(当事務所手配も可)
費用と期間の考え方
費用は、相談時間・財産の種類と金額・関係者の人数・方式(自筆/法務局保管/公正証書)等で変動します。最適なコストと確実性のバランスをご提案し、お見積りいたします。
遺言は「家族への思いやり」を形にする大切な手続きです。
行政書士中川まさあき事務所は、ご相談→案文作成→保管/公証対応→証人手配までワンストップで支援します。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は現行民法・公証実務に基づく一般的な解説です。具体的な運用・手数料・必要書類は事案により異なります。最新情報は所管機関の案内をご確認ください。
