裁決の種類と判決の種類

ここではまず、行政不服審査法における裁決の種類と、行政事件訴訟法における判決の種類を比較してみていきたいと思います。

裁決の種類(行政不服審査法)

①却下裁決(却下決定)

却下裁決(却下決定)は、不服申立の要件を欠いており不適法である場合に、本案審理を拒否(門前払い)する裁決(決定)をいいます。

②棄却裁決(棄却決定)

棄却裁決(棄却決定)は、不服申立てに理由がないとして退ける裁決(決定)をいいます。

③事情裁決

後述記載の通り

④容認裁決(容認決定)

不服申立てに理由があるとして、その申立てを認容する裁決(決定)をいいます。

判決の種類(行政事件訴訟法)

①却下判決

訴訟要件を欠いている場合に、その訴えを不適法として却下する判決をいいます。(門前払い)

②本案判決

訴えに係る請求を認めるか否かを判断する判決をいい、以下の3つに区分されます。

  • 認容判決 ・・・理由があると認めて処分を取り消す判決
  • 棄却判決・・・・請求に理由がないとして、訴えを退ける判決
  • 事情判決・・・・後述記載の通り

次に、行政不服審査法における裁決の種類のうち事情裁決と、行政事件訴訟法における判決の種類のうち事情判決をそれぞれ比較してみていきたいと思います。

事情裁決(行政不服審査法)

(処分についての審査請求の却下又は棄却)

第45条 

 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

行政不服審査法 第45条3項より抜粋

(再審査請求の却下又は棄却の裁決)

第64条 

 前項に規定する場合のほか、再審査請求に係る原裁決等が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、再審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、原裁決等を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却することができる。この場合には、再審査庁は、裁決の主文で、当該原裁決等が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

行政不服審査法 第64条4項より抜粋

事情判決(行政事件訴訟法)

(特別の事情による請求の棄却)

第31条 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない

 裁判所は、相当と認めるときは終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる

 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。

行政事件訴訟法 第31条より抜粋

行政書士中川まさあき事務所