要件事実

要件事実とは、「一定の法律効果が発生するために必要とされる具体的な事実」とされています。審判対象となる権利を主張するために、必要とされる具体的な事実とも置き換えられます。例えば、自分の家を他人が占拠している場合に、所有権に基づく明け渡し請求を主張する場合の要件事実は、➀自分が所有者であること。②所有権が侵害されていること。の二つの事実ということになります。

自分の権利を主張するためには、この要件事実のみ立証すればよく、それ以外の事実を主張しても、自己に不利に働き、相手方が有利になる可能性があるので、必要最小限のことのみを主張すればよく、余計なことは言わないというのが基本のようです。ですから、この場合、この2つを主張していくことになり、この事実が証明されれば無事その権利が認められるということになります。

主要事実

主要事実とは、法律効果を判断するのに直接必要な事実をいうとされています。

審判対象となる権利を主張するためには、その権利を証明する直接の証拠を提示する必要があるとされています。逆に、その証拠が示すことができない場合は、その権利を主張できないかというとそういう訳でもないとされているようです。あるあるです。契約書などはないので証拠は提示できないが、間違いなく当事者間でその事実は発生しており、その権利はあるんだ。という場合も十分想定されます。でも、証拠がない場合には、後述する間接事実で証明作業をしていくことになるようですが、証拠としては弱いようです。

ときに、「要件事実」は、「主要事実」と同じような意味と捉えることができるとの考え方もあるようですが、私も、そのように解釈した方が分かりやすいと思います。

また、これら「主要事実」に関しては、弁論主義のテーゼが必ず働くとされています。

間接事実

間接的な事実(主要事実を間接的に証明し得る事実)例えば、お金を貸して以降、相手の生活が急に派手になったという事実など。これら、間接事実を主張・立証していくことで、全体的な証拠能力をより高める効果が得られたり、事実認定に一定の効果がある場合もあるようです。

この間接事実は、弁論主義の3つのテーゼが働かず、裁判所はこれらをもとに事実認定するのは自由とされています。ここは、弁護士先生の腕の見せ所といえるようです。

補助事実

補助事実とは、証拠能力に影響をあたえる事実とあります。証拠として示された契約書が偽造だという事実を示せばそれが補助事実にあたるということだそうでうす。

私は、補助事実と間接事実の区別がとても分かりにくく、混同してしまいそうで困っています。間接事実も証拠能力に影響をあたえる事実じゃないの?と考えてしまうと、帰ってこれなくなってしまうのです。研修中の皆様はそうでもないようですが、私は、この辺りがどうも苦手なようです。割り切って覚えていくようにします。

補助事実は、補助的に証明し得る事実を提示して事実認定を求めることにもなりますが、この補助事実も弁論主義の3つのテーゼが働かず、裁判所はこれらをもとに事実認定するのは自由とされています。

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